行基さんゆかりの地を訪ねて　～鹿児島県編～

乘願寺（じょうがんじ）鹿児島県出水市

住所

出水市下鯖町399

開山

廃仏毀釈前の本尊が行基作とされていることから古い時分に開山されたとされるが、詳しい歴史は不明。もともとは「成願寺」として出水市内の別の場所に存在（出水駅から西に米ノ津川を渡った先付近）していた。

開基

上記理由により、島津義虎（1562年）公復興の年を開基としている。

行基さんとのゆかり

廃仏毀釈前の本尊が行基作（残念ながら現存せず）。

レポート

肥薩おれんじ鉄道の米ノ津駅から徒歩10分程の場所にあり、出水駅から向かう列車の車窓からも見えます。ご住職とお母さま、20代の若いお弟子さんに出迎えていただきました。お弟子さんは大阪の大学を出たのち、地元の米ノ津で家族が経営する学習塾を手伝いながら、日中はお寺でお勤めしているそうです。
不明な点は多いですが、現時点で乘願寺が有人の場所としては行基さんゆかりの地最南端となりました。
お寺のパンフレットのデータを提供していただきました。ぜひこちらもご覧ください。

写真

白木神社（しらきじんじゃ）鹿児島県伊佐市

住所

伊佐市大口白木813

勧請

応永15年（1408年）3月6日

開基

以前は真言宗長福寺の観音堂。廃仏毀釈の難を逃れるために神社となる。

行基さんとのゆかり

ご本尊の白木観音像が行基作とされる（現存）。

レポート

鹿児島で初めて見る「行基菩薩」の文字に思わず感動してしまいました。もともとは「長福寺」と言う名前のお寺。廃仏毀釈の難を逃れるために白木神社となりました。乘願寺のある出水市から車で約40分の場所にあります。ご本尊は年数回御開帳されているそうで、同行していただいた乘願寺のご住職が教育委員会などに掛け合ってくださいましたが、訪問時にお目にかかることはできませんでした。案内板の内容から、像自体は行基がこの地で彫ったものではなく、外部（京都？）から持ち込まれたとする説もあるようです。すぐ近くに同名の「長福寺」がありますが、無関係とのことです。

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薩摩国分寺跡　鹿児島県薩摩川内市

住所

薩摩川内市国分寺町4212-1

創建

奈良時代後期ごろ。

開基

不明。

行基さんとのゆかり

『三国名勝図会』には聖武天皇が行基に建立を命じたこと、行基自作の「聖觀音丈六の像」を大講堂に安置していたことなどが記載されています。

レポート

現地は史跡公園として整備されています。車はすぐ近くの歴史資料館に停めることができます。残念ながら現地の案内板に行基の名前はありませんでした。気になる点としては、他の国分寺と比べると建立時期が遅いことと、伽藍の形式や規模が異なることが挙げられます。中央から遠く離れていることが影響していたのでしょうか。

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まとめ

　これまでインターネットで「行基　鹿児島県」と検索しても不思議なぐらい情報が出てきませんでした。それが最近になりあらためて検索すると、検索結果に乘願寺のホームページが表示されるようになったのです。恐る恐る電話を掛けてみると、訪問の了承をいただいただけでなく、伊佐市の白木神社をご紹介いただき、当日はなんとご住職自らお車まで出していただいたのです。さらに、予定にはなかった薩摩国分寺跡にまでお連れしていただきました。心より感謝申し上げます。
　鹿児島県ではなぜこれまで行基ゆかりの寺院が確認できなかったのか。主な理由としては、①鹿児島県では特に廃仏毀釈が激しかったこと、②大和朝廷に反抗的だった隼人の存在があること、などが考えられると思います。
　乘願寺と白木神社（長福寺）はいずれもご本尊が行基作とされるものの、行基開山・開基との情報までは得られませんでした。しかしながら、乘願寺の最寄り駅が「米ノ津」であるように、かつて乘願寺周辺の土地はお米の生産が盛んな稲作地帯だったようです。すぐ近くには米ノ津川が流れ周辺に平野が広がっていることからも、百万町歩開墾計画から始まった三世一身の法に基づき、かつてこの土地でも行基集団が活躍し、乘願寺（成願寺）がその拠点だった可能性は残されているのではないでしょうか。もっと時間をかけて郷土史などを深堀していくことができれば、また何か見つかるかもしれません。

レポート：行基さん大感謝祭実行委員会　神原

乘願寺：https://samonzan.crayonsite.net/
白木神社：https://www.city.isa.kagoshima.jp/culture/shisetsu-bunka/shiteibunka/
薩摩国分寺跡：http://rekishi.satsumasendai.jp/archives/sanpo/20140826/606