行基さん大感謝祭2024 実施報告

実施概要

 奈良時代の高僧であり、東大寺大仏の造立に尽力した行基菩薩(668-749)(以下、行基さん)が和泉国大鳥郡家原村(現・堺市西区)に誕生してから、今年で 1356年を迎えました。行基さんは畿内を中心に、民衆のために、貯水池や港湾の整備、架橋や道路の構築などインフラ事業を実施し、宿泊施設である布施屋や道場を開いた人物です。しかし、その活動は行基さんの名前に比べるとあまり知られていません。
『続日本紀』天平2年(730)9月29日条に聖武天皇は詔で「近京の左側の山原に、多人聚集して妖言衆を惑わす。多きは則ち万人、少きは乃ち数千なり。かくの如き徒は深く憲法に違うなり」と平城京の東陵に民衆を集めて「妖言」をもちいて民衆を惑わしていた人物を糾弾しています。諸師の学説によれば、この人物は行基さんであると比定され、行基さんの活動の一端を感じさせる記述です。
 この「近京の左側の山原」に一致する飛火野において行基さんを身近に感じる機会として「行基さん大感謝祭」を実施し本年で7年目となります。ご協力いただいた国土交通省近畿地方整備局、奈良国立博物館、奈良文化財研究所、自治体各位はじめ諸大寺、団体各位、殊には境内を快くお貸しいただいた春日大社様、東大寺様に厚く御礼申し上げます。

主催行基さん大感謝祭実行委員会
共催行基に学ぶ関西再発見の会(行基鍋)
特別協力春日大社、東大寺、喜光寺、氷室神社、唐招提寺、竹林寺
協力鵤工舎、平川工務店、みちのく創生支援機構、(株)鈴木鋳造所
後援国交省近畿地方整備局、奈良国立博物館、奈良文化財研究所
奈良県、奈良市 
開催地春日大社境内 飛火野(奈良市春日野町160)
奈良国立博物館仏教美術資料研究センター(奈良市登大路町50)
開催日時令和6年11月10日(日) 10:00~16:50

イベント内容

体験ブース等11:00~15:30
①棟梁直伝 宮大工教室
②どぼく体験教室
③新しい鋳造リアル体験
④たこあげ体験
⑤古代のボードゲームかりうち
⑥行基さん紙芝居・人形劇
⑦開会式・氷置 晋青空ライヴ
⑧飲食テント&キッチンカー
特別イベント11:00~15:30
行基霊場参詣 お砂踏み道場
11:30~15:30
行基鍋お振る舞い
直径1.3m、重さ88kgの大鍋使用
15:30~16:50
行基さんと一緒に大仏参詣
同時開催10:00~15:00
行基生誕1356年記念
地域連携セミナー
行基さんフォトコンテスト表彰式
行基さん講演会

体験ブース等

①棟梁直伝宮大工教室

協力:鵤工舎 平川工務店

行基さんの時代から受け継がれる伝統的な木工技術を持つ宮大工による体験教室。実演を含む指導には鵤工舎の前田世貴棟梁と平川工務店の平川善久棟梁があたり、多くの参加者が宮大工技術の奥深さの一端を学びました。海外観光客の参加も目立ちました。

②どぼく体験教室

協力:国土交通省近畿地方整備局

身近なのにあんまり知らないインフラの世界。生活に直結しているインフラ。そうした土木技術の重要性を周知しました。行基さんが架橋を多くしていることにちなみ、レンガと土砂でアーチ橋を造営する体験も行いました。また、今年は新たに、平城宮跡歴史公園からスタッフも参加して木簡体験も開催されました。

③新しい鋳造リアル体験

協力:消失模型鋳造法研究会 
   頃安貞利教授(帝京大学)

東大寺盧舎那仏をはじめ、行基さんの時代の仏像はしばしば鋳造で造られました。鋳造には特別な技術と設備が必要なこともありなかなか学ぶ機会はありません。研究会の協力で今回も実施できました。

④たこあげ体験

協力:奈良自然塾

飛火野は一説には元明天皇のころ、飛火(のろし)が設置されたと考えられている場所です。今の時代、広々とした会場で自由自在に凧をあげる機会はそうありません。自分で絵を描き工夫したマイ凧を銘々が空に向かって高く上げました。

⑤古代のボードゲームかりうち

協力:奈良文化財研究所

奈良時代のゲームで遊ぼうと平城京・全国各地で発見された土器や韓国のボードゲーム「ユンノリ」をもとに奈文研が復元し、5年前から始まった“かりうちプロジェクト“で紹介中のゲームです。子どもも大人も参加者一同、大いに楽しみました。

⑥行基さん紙芝居・人形劇

協力:おもろい堺を造る会・絵語りすと畑中さん・岸和田市おじかくらぶ

昨年に続き、行基さん紙芝居を堺市の皆さんと桜井市の畑中さんにご披露いただきました。岸和田市で活動する人形劇の皆さんには映像も使ってご参加いただきました。

⑦開会式・氷置 晋 青空ライヴ

協力:春日大社・奈良ミュージックデザイン

大感謝祭のオープニングは春日大社花山院弘匡宮司にご挨拶を頂戴しました。氷置晋さんには感謝祭テーマソング「繋ぐ千年」やオリジナル曲などを演奏していただきました。

⑧飲食テント&キッチンカー

協力:鬼太郎・銀河食堂・モンテブランコ他

今年も飲食物販のテントを設置し、キッチンカーも2台登場しました。

特別イベント

行基霊場参詣お砂踏み道場

 行基さんは、82歳のご生涯の間に、畿内に49ヶ寺の寺院を建立されたと伝わっています。現在も、寺籍を保つ寺院は9ヶ寺と考えられています。今年も、この9ヶ寺に加え、家原寺、往生院、竹林寺の3ヶ寺をはじめ、計50ヶ寺以上のご協力のもと、それぞれのお寺の境内のお砂をお分けいただき、一日だけのお砂踏み道場を設えました。
 中央のテントには行基菩薩座像を安置してお砂を配し、各寺院のパネルも置きました。両側のテントにも同じくお砂とパネルをおいて参拝いただきました。
 お砂踏みとは寺院の砂を踏んで参詣することで、その寺院、ご本尊をお参りしたことと同じ功徳をいただける信仰です。
 そして、今回から「ぬり絵コーナー」を設けて、子どもたちも含め新たに興味を持ってもらう試みも始めました。
 また、昨年の北限・南限探訪の旅でご縁を結んだ6ケ寺のなかの岩手県一関市の地蔵院からご住職と令夫人が会場にお見えになり、私たちはさらに新たなご縁を結ぶ事ができました。

行基鍋お振る舞い

『行基鍋』は、「行基さん大感謝祭」が発足した2018年に誕生しました。当時の東大寺管長さんの「行基さん大感謝祭の取組には種々多様な団体が集まっておられ、まぁ『行基鍋』みたいなもんですな」との一言から始まったのです。森妙子さんが試行錯誤の末にレシピを創案され、皆さまにお振る舞いされました。
「行基鍋」を記した史料はまだ見つかっていません。しかし「数千、多くは萬人を集め、妖言して衆を惑わす」と朝廷から糾弾された行基集団なら、折々に大鍋を囲み議論百出、団結を深めたに違いありません。
コロナ禍で途絶えていた『行基鍋』の復活を模索するなか、「もう少し面白く楽しい取り組みも考えてみたら」との春日大社宮司さんのご助言もあり、運営委員会での議論が大いに盛り上がりました。東北に色濃く残る大鍋を使った「芋煮会」ですが、いまや東北にとどまらず全国に知られる山形の「芋煮会」の大鍋を飛火野に持ち込めないかというのです。
東北で鋳造された大鍋(鋳造制作協力:みちのく創生支援機構、KK鈴木鋳造所)を用いて提供される『行基鍋』を、往時の首都・奈良の飛火野の地でお楽しみいただけるなら、これにすぎる喜びはございません。
このようにして、当日500食を用意してお振る舞いを実施しました。天候にも恵まれて用意した500食が入った大鍋は多くの皆さんに喜ばれたようで1時間で空になってしまいました。
脇に置かせていただいた募金箱にも多くの浄財をお寄せいただきました。
来年の第8回行基さん大感謝祭に役立てたいと思います。ありがとうございました。

行基さんと一緒に大仏参詣

晩年は大仏造立に尽力したことで知られる行基さん。82歳で入寂された際には、未だ大仏は完成していませんでした。大感謝祭では、飛火野に安置した行基菩薩坐像(喜光寺蔵)を泰安して行列を組んで大仏殿に参詣する事を大切な行事として毎年実施しています。今年は天候にも恵まれ、多くの観光客の間を、東大寺大仏殿へ行基坐像と一緒に行列を進めました。そして坐像とご一緒に一同無事に大仏さまと対面を果たしました。参詣後は中門前にて参加者全員で行基坐像と一緒に記念撮影を行い飛火野まで無事戻りました。

同時開催 行基生誕1356年記念

地域連携セミナー シンポジウム・行基さんフォトコンテスト表彰式・行基さん講演会

写真はシンポジウム(上段)、フォトコンテスト表彰式(中段)、行基さん講演会(下段)

イベントの認知拡大に向けて

5月~フォトコンテストを案内(チラシの表・裏) 

8月~ポスターとチラシでPR(同一デザインで統一感を持たせました) 

8月~浄財を求めサポーター会員&ファンクラブ会員を募りました 

10月~シンポジウム会場の案内を始めました

広報結果

新聞社3社・テレビ2社ほかタウン誌・広報紙で告知や紹介がされました。
(新聞紙面やテレビ放送のキャプチャーは著作権の都合上掲載できません。)

行基さん大感謝祭実行委員会
                 事務局:奈良市元林院町9まんぎょく内