行基さん大感謝祭2023 実施報告

実施概要

 奈良時代の高僧であり、東大寺大仏の造立に尽力した行基菩薩(668-749)(以下、行基さん)が和泉国大鳥群家原村(現・堺市西区)に誕生してから、今年で1355年を迎えました。行基さんは畿内を中心に、民衆のために、貯水池や港湾の整備、架橋や道路の構築などインフラ事業を実施し、また無料の宿泊施設である布施屋や道場を開いた人物です。
『続日本紀』天平2年(730)9月29日条に聖武天皇は詔で「近京の左側の山原に、多人聚集して妖言衆を惑わす。多きは即ち万人、少きは乃ち数千なり。かくの如き徒は深く憲法に違うなり」と平城京の東陵に民衆を集めて「妖言」をもちいて民衆を惑わしていた人物を糾弾しています。諸師の学説によれば、この人物は行基さんであると比定され、行基さんの活動の一端を感じさせる記述です。
 この「近京の左側の山原」に一致する飛火野において行基さんを身近に感じる機会として「行基さん大感謝祭」を実施し本年で6年目となります。ご協力いただいた国土交通省近畿地方整備局、自治体各位、はじめ諸大寺、団体各位、殊には境内を快くお貸しいただいた春日大社様、東大寺様に厚く御礼申し上げます。

主催「行基さん大感謝祭」実行委員会
共催行基に学ぶ関西再発見の会(行基鍋)
特別協力春日大社/東大寺/喜光寺/氷室神社
協力鵤工舎/平川工務店
後援国土交通省近畿地方整備局/奈良県/奈良市
開催地春日大社境内飛火野野 (奈良市春日野町160)他
開催日時令和5年(2023年)11月12日(日)

イベント内容

体験ブース等12:00~16:00
①宮大工教室
②どぼく体験教室
③鋳造体験教室
④凧あげ教室
⑤行基さん紙芝居
⑥オープニング・ライヴ演奏
⑦飲食テント&キッチンカー
特別イベント12:00~15:00 
・行基さんとゆかりのお寺 お砂踏み道場
15:00~
・行基さんと大仏参詣
同時開催
シンポジウム等
行基生誕1355年記念シンポジウム
・行基さん講演会
・地域連携サミット

①宮大工教室

協力:鵤工舎 平川工務店

行基さんの時代から受け継がれる伝統的な土木技術をもつ宮大工による体験教室。実演を含む指導には、鵤工舎の小川三夫棟梁の娘婿前田世貴棟梁と平川工務店の平川善久棟梁があたり、多くの参加者が宮大工技術の奥深さの一端を学んだ。

↑宮大工技術に多くの方が関心

↑木を削るのはなかなか難しい

②どぼく体験教室

協力:国土交通省近畿地方整備局

身近なのにあんまり知らないインフラの世界。生活に直結しているインフラ。もっと楽しく勉強してもらうべく、土石流発生のメカニズムを学べる装置を用いて、土木の重要性を周知しました。行基さんが架橋を多くしている事にちなみ、レンガと土砂でアーチ橋を造営する体験も行いました。

↓土石流発生のメカニズムを学ぶ

↓レンガと土だけで橋が作れる?

③鋳造体験

協力:池永明(元大阪府立大学大学院准教授)

東大寺盧舎那仏をはじめ、行基さんの時代の仏像は、しばしば鋳造で造られました。鋳造には特別な技術と設備が必要なこともあり、勉強する機会はなかなかありません。今回、池永明氏の協力・指導のもと鋳造体験を実施しました。

↓鋳造体験に大人も興味津々

↓いざ、鋳込み作業!

↓作品と様々な資料も展示

④凧あげ体験

協力:奈良自然塾

会場である飛火野は一説には元明天皇のころ飛火(のろし)が設置されたと考えられている場所です。現代ではのろしを上げることはできませんが、凧をあげて当時を偲んでみました。また凧に思い思いのデザインを加えて、願いを大空へ上げました。

↓家族連れの方が多く集まり大盛況

⑤行基さん紙芝居

昨年に続き堺市から、そして新たに桜井市からも参加いただきました。

↓おもろい堺を作る会

桜井市から絵語リスト

⑥オープニング・ライヴ

昨年に続き氷置さんには大感謝祭テーマソングなどを歌っていただきました。
大仏参詣時にも二度目の登場を願いました。

⑦飲食テント&キッチンカー

久しぶりに飲食関係の出店が可能になりました。

特別イベント

行基さんゆかりのお寺 お砂踏み道場

 行基さんは、82歳のご生涯の間に、畿内に49ヶ寺の寺院を建立されたと伝わっています。現在も、寺籍を保つ寺院は9ヶ寺と考えられています。今年も、この9ヶ寺に加え、家原寺、往生院、竹林寺の12ヶ寺をはじめ、50ヶ寺以上のご協力のもと、それぞれのお寺の境内のお砂をお分けいただき、一日だけのお砂踏み道場を設えました。
 中央のテントには行基菩薩座像を安置してお砂を配置して各寺院のパネルも置き、両側のテントにも同じくお砂とパネルをおいて参拝いただきました。
 お砂踏みとは寺院の砂を踏んで参詣することで、その寺院、ご本尊をお参りしたことと同じ功徳をいただける信仰です。
 今年は行基さん所縁のお寺巡り北限・南限探訪の旅でいただいた岩手/秋田の2ヶ寺と宮崎/熊本の4ヶ寺のお砂も加えて行基さん所縁のお寺に広がりを持たせることが出来ました。

行基さんと大仏参詣

特別協力:華厳宗大本山東大寺
 
 晩年は大仏造立に尽力したことで知られる行基さん。82歳で入寂された際には、まだ大仏様は完成していませんでした。大感謝祭では、飛火野に安置した行基菩薩坐像(喜光寺蔵)を奉安して行列を組んで大仏殿に参詣する大仏参詣を行っていますが、今年は雨模様のため、行基座像には一足先に大仏殿西回廊でお待ち願い、そこから一緒に参詣、ご対面を果たしました。
 参詣後には参加者全員で行基さんと一緒に記念撮影をして、再び飛火野会場へ秋の奈良公園を歩いて戻りました。

↑道中はこちらの行基さん

↓座像は一足早く飛火野を出発!

↓観光客に見送られて

↓立像と交替して行基座像が大仏殿へ入る

↓大仏さまとご対面

↓行基立像を懐いて一同で集合写真

↓大任を果たし飛火野へ!

イベントの認知拡大に向けて

チラシ

↑チラシ表面
今年は大リーグで活躍中の○○サンにあやかってみました。

↑チラシ裏面
家族層にも興味を持ってもらえそうなデザインに

ポスター

↓ ポスター
チラシと同一のデザイン で統一感を持たせました。

シンポジウム(行基さん講演会・地域連携セミナー)チラシ

↑同時開催の
行基さん講演会(午前)とシンポジウム(午後)のチラシ

広報結果

新聞4紙・テレビ1社にて紹介されました。
時事通信社からも配信されました。
(新聞紙面やテレビ放送のキャプチャーは著作権の都合上掲載できません。)

・朝日新聞2023年8月22日 コラム「青鉛筆」にフォトコンテストが取り上げられました。

毎日新聞2023年11月1日 行基はん、ほんまおおきに 12日・大感謝祭 東大寺参詣など 奈良 /奈良
朝日新聞2023年11月2日 行基さんの功績たたえ大感謝祭 座像先頭に行列も
奈良新聞2023年11月5日 11月12日に奈良の2会場で「行基さん大感謝祭」 宮大工教室やキッチンカー、シンポジウムも
・産経新聞2023年11月9日
NHK2023年11月13日 奈良時代の高僧 行基の功績をしのぶ催し

● ご報告:当実行委員会の活動に、今年も堺市の月輪寺(がちりんじ)様から、そして新たに奈良市の若原万紗子様からご寄付を頂戴しました。紙面を借りて厚く御礼申し上げます。

行基さん大感謝祭実行委員会
事務局〒630-8221 奈良市元林院町9まんぎょく内