2022行基さん大感謝祭 実施報告

実施概要

奈良時代の高僧であり、東大寺大仏の造立に尽力した行基菩薩(668-749)(以 下、行基さん)が和泉国大鳥郡家原村(現・堺市西区)に誕生してから、今年で 1354年を迎えました。行基さんは畿内を中心に、民衆のために、貯水池や港湾の 整備、架橋や道路の構築などインフラ事業を実施し、また無料の宿泊施設である布 施屋や道場を開いた人物です。しかし、その活動は行基さんの名前と比べるとあま り知られていません。

『続日本紀』天平2年(730)9月29日条に聖武天皇は詔で「近京の左側の山原に、 多人聚集して妖言衆を惑わす。多きは則ち万人、少きは乃ち数千なり。かくの如き 徒は深く憲法に違うなり」と平城京の東陵に民衆を集めて「妖言」をもちいて民衆 を惑わしていた人物を糾弾しています。諸師の学説によれば、この人物は行基さん であると比定され、行基さんの活動の一端を感じさせる記述です。 この「近京の左側の山原」に一致する飛火野において行基さんを身近に感じる機 会として「行基さん大感謝祭」を実施し本年で5年目となります。ご協力いただい た国土交通省近畿地方整備局、自治体各位、はじめ諸大寺、団体各位、殊には境内 を快くお貸しいただいた春日大社様、東大寺様に厚く御礼申し上げます。

主催行基さん大感謝祭実行委員会
共催行基に学ぶ関西再発見の会(行基鍋)
特別協力春日大社、東大寺、喜光寺、氷室神社
協力鵤工舎、平川工務店
後援国土交通省近畿地方整備局、奈良県、奈良市
開催地春日大社境内 飛火野(奈良市春日野町160) 他
開催日時令和4年11月20日(日) 10:00~16:00

イベント内容

10:00~15:00同時開催シンポジウム等
行基さん講演会、地域連携サミット
行基生誕1345年記念シンポジウム
12:00~16:00体験ブース
① 宮大工教室
② どぼく体験教室
③ 鋳造体験
④凧揚げ教室
⑤行基さん紙芝居
⑥テーマソング発表ライヴ
12:00~15:00特別イベント
ゆかりのお寺お砂踏み体験
15:00~特別イベント
行基さんと大仏参詣

①宮大工教室

協力:鵤工舎 平川工務店

行基さんの時代から受け継がれる伝統的な土木技術をもつ宮大工による体験教室。
宮大工・西岡常一(文化財保存技術保持者)のただ一人の内弟子で、奈良県の法輪寺三 重塔再建工事、薬師寺復興工事に携わる小川三夫氏をはじめ、宮大工による技術の体験

②どぼく体験教室

協力:国土交通省近畿地方整備局

身近なのにあんまり知らないインフラの世界。生活に直結しているインフラ。
もっと楽しく勉強してもらうべく、土石流発生のメカニズムを学べる装置を用いて、土木の重
要性を周知しました。行基さんが架橋を多くしていることにちなみ、レンガと土砂で
アーチ橋を造営する体験も行いました。

③鋳造体験

協力:池永明(元大阪府立大学大学院准教授)

東大寺盧舎那仏をはじめ、行基さんの時代の仏像は、しばしば鋳造で造られました。
鋳造には特別な技術と設備が必要なこともあり、勉強する機会はなかなかありません。
今回、池永明氏の協力・指導のもと鋳造体験を実施しました。

④凧あげ体験

協力:奈良自然塾

会場である飛火野は一説には元明天皇のころ飛火(のろし)が設置されたと考えられている場所です。
現代ではのろしを上げることはできませんが、凧をあげて当時を偲んでみました。
また凧に思い思いのデザインを加えて、願いを大空へ上げました。

⑤行基さん紙芝居

⑥テーマソング発表ライヴ

特別イベント

行基さんゆかりのお寺 お砂踏み

行基さんは、82歳のご生涯の間に、畿内に49ヶ寺の寺院を建立されたと 伝わっています。
現在も、寺籍を保つ寺院は9ヶ寺と考えられています。
今年も、この9ヶ寺に加え、家原寺、往生院、竹林寺の12ヶ寺をはじめ、 50ヶ寺以上のご協力のもと、それぞれのお寺の境内のお砂をお分けいただき、 一日だけのお砂踏み道場を設えました。
お砂踏みとは寺院の砂を踏んで参詣することで、その寺院、ご本尊をお参りし たことと同じ功徳をいただける信仰です。
道場には、中央に行基菩薩坐像を安置、周囲に各寺院のパネルをおいて参拝いただきました。

行基さん大仏参詣

特別協力:華厳宗大本山東大寺

晩年は大仏造立に尽力したことで知られる行基さん。
82歳で入寂された際には、まだ大仏様は完成していませんでした。
大感謝祭では、飛火野に安置した行基菩薩坐像(喜光寺蔵)を 奉安して行列を組んで大仏殿に参詣する大仏参詣を行いまし た。
飛火野会場を出発し、途中、シンポジウム参加者と合流 し、大仏殿まで歩いて参詣しました。
参詣後には参加者全員で行基さんといっしょに、記念撮影をし、再び飛火野会場まで行基さんとともに秋の奈良公園を行列しました。